「トレイルランニング 迷惑」と検索されるその背景
「トレイルランニング 迷惑」──
この言葉で検索する人が年々増えているのをご存知でしょうか?
自然の中を駆け抜ける爽快なスポーツであるはずのトレイルランニングに、なぜ“迷惑”というネガティブな印象がついているのか。実は、その背景には誤解・すれ違い・一部のマナー違反があります。
トレイルランナーの多くは、山や自然を心から愛し、敬意をもって走っています。ですが、ごく一部の心ない行動やルールを知らずに走ってしまった人によって、登山者や地元住民との間に摩擦が生まれてしまったのも事実です。
この記事では、なぜ“迷惑”と感じられることがあるのか、その原因を整理しつつ、「ルールやマナーを守れば問題はない」という前向きな視点から、トレイルランニングの真の魅力をお伝えしていきます。
【目次】
2,ルールとマナーを守れば、トレイルランニングは誰にも迷惑じゃない
3,トレイルランニングが与えてくれる5つのかけがえのない魅力
1,なぜ迷惑に感じられるのか?トレイル上で起きる摩擦の正体
トレイルランニングが「迷惑」とされる原因は、主に以下のようなシーンから生まれます:
❶ 登山者との接触・追い越し
狭い登山道でランナーがスピードを出して走ってくると、ゆっくり歩いている登山者は「危ない」「怖い」と感じてしまうことがあります。
とくに後方から無言で接近されると、驚かせてしまいがちです。
❷挨拶や配慮の不足
登山文化では「すれ違いざまの挨拶」は基本的なマナー。これを怠ると、「無礼だ」「横柄だ」と受け取られる可能性があります。
❸登山道のダメージや環境負荷
急な下りで強くブレーキをかけながら走ると、地面が掘れてしまうことも。また、雨上がりのぬかるみを走ることで、道の侵食が進んでしまうこともあります。
❹集団ランやイベント時の騒音・混雑
イベントやグループでのトレランは非常に楽しいものですが、声のボリュームや人数の多さによって、静かに山を楽しみたい人からすると「うるさい」「占領されている」と感じられてしまうことも。
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このように、ほんの些細な行動の積み重ねが、登山者や地元の方に“迷惑”という印象を与えてしまうことがあります。
しかし、それは決して「トレイルランニングそのものが悪い」のではなく、マナーや配慮を欠いた一部の行動が原因であることがほとんどです。
2. ルールとマナーを守れば、トレイルランニングは誰にも迷惑じゃない
トレイルランニングが“迷惑”と思われないために、何よりも大切なのがルールとマナーを守ることです。これは特別な技術でも、高価な装備でもありません。ごく基本的な配慮で、すべてが変わります。
①すれ違い・追い越し時の声かけ
「右から通ります」「追い越します、ありがとうございます」
たった一言で、登山者の驚きや不安をなくし、温かなやりとりが生まれます。山では“無言”は不安のもとです。しんどくても思いやりは忘れずに。
②スピードを落とす・歩く勇気
混雑している登山道や視界の悪い区間では、あえて歩くことも大切です。「速さ」よりも「安全と共存」を選ぶ意識を持ちましょう。
③すれ違い時の道譲りルールを知る
登山では「登り優先」が基本ルールです。ランナーが下り坂で登山者に出会った場合、必ず譲るのがマナーです。
④音量と服装にも配慮を
音楽を聴きながら走る人は、骨伝導イヤホンを使用し、周囲の音が聞こえる状態にしましょう。明るすぎる服装や派手な集団行動も、場所によっては悪目立ちします。
⑤地元ルールや大会規定を尊重
山域ごとに異なるルールや地元の登山者との暗黙の了解があることも。事前に調べ、「お邪魔します」の気持ちで走ることが大切です。
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これらの基本を押さえていれば、トレイルランニングは決して迷惑な行為ではありません。むしろ、他の利用者や自然に敬意を持つトレイルランナーは、「山を愛する仲間」として温かく迎えられることも多いのです。
3、トレイルランニングが与えてくれる5つのかけがえのない魅力
そもそも、スポーツの中でも随一にきついトレイルランニング。頭がおかしいと言われてしまうようなスポーツですが、なぜ多くの人が魅せられているのでしょうか?
ルールやマナーを守った上で、それでも山を駆ける価値がある。その理由は、以下のようなかけがえのない魅力にあります。
① 自然との一体感
舗装されていない道、土や木の根を踏みしめながら進む感覚、森の匂いや鳥の声──それらは日常では味わえない**“五感の解放”**です。
② 心身のリフレッシュ
トレイルを走ることで、日常のストレスやモヤモヤがスッと抜けていく感覚があります。緑を見るだけで脳がリラックスするという研究もあり、メンタルケアとしても効果絶大です。
③ 全身を使う運動効果
ロードランよりも足元が不安定な分、体幹・バランス感覚・集中力が鍛えられます。自然なインターバルトレーニングにもなり、健康維持やダイエットにも最適です。
④ 景色の達成感
苦労して登った山頂で見渡す絶景。それを“走って”たどり着いたときの感動はひとしおです。風景に自分が溶け込むような体験は、まさに非日常。
⑤ 仲間とのつながり
トレイルランナー同士には独特の連帯感があります。大会や練習会、SNSを通じて知り合った仲間と自然の中を走る時間は、かけがえのない絆を生んでくれます。
4,まとめ:自然と人に敬意を払えば、トレイルはもっと自由で心地いい
トレイルランニングが“迷惑”だと言われるのは、スポーツそのものに原因があるのではありません。
問題なのは、「知らない」「気づかない」「想像できない」ことで起きる、ほんの少しのすれ違いです。
けれど逆に言えば、「知っている」「配慮できる」「歩み寄れる」ことで、山はすべての人にとって心地よい共有空間になります。