【目次】
・まとめ
奈良でウルトラマラソンが開催決定
2026年5月、奈良県南部を舞台にした100kmウルトラマラソンの開催が決定しました。奈良県出身者としては非常に嬉しく思います。
スタートは橿原市から、吉野金峯山寺や古代遺跡を巡り、世界遺産候補地を背景に駆け抜けるという壮大なコース。参加枠は3,000名に限定され、国内外から多くのランナーが集結することが期待されています。
「歴史と文化を走る100km」というコンセプトは、これまでの国内ウルトラマラソンにはなかった新しい切り口です。
ここでは、奈良での大会の特徴を整理しながら、過去に全国各地で開催されてきた有名ウルトラマラソンと比較し、その魅力と可能性を探ってみたいと思います。
サロマ湖・四万十川・飛騨高山…国内の有名大会
サロマ湖100kmウルトラマラソン(北海道)
1986年にスタートした、日本を代表する100kmレース。国内外から2,000名以上のランナーが集う歴史ある大会です。
最大の特徴は、サロマ湖畔をひたすら走るフラットなコース。気温が低い年は走りやすい反面、風が強かったり、真夏日に近い暑さになることもあり、気象条件に大きく左右されるのが難しさでもあります。
世界記録が誕生した大会としても知られ、エリートランナーから市民ランナーまで幅広い層に愛されています。
四万十川ウルトラマラソン(高知)
高知県の清流・四万十川を舞台にした大会。美しい自然と地元住民の温かい応援が大きな魅力です。
走力勝負というよりは、「いかに自然と一体となって楽しめるか」が問われるレース。補給所では地元特産の食べ物が並び、「食を楽しむウルトラマラソン」としても人気です
参加者は抽選制で、毎年数倍の応募倍率を誇ります。
飛騨高山ウルトラマラソン(岐阜)
古い町並みと山岳地帯を駆け抜ける100km。累積標高は2,500m以上と、国内屈指のアップダウンを誇る「山岳型ウルトラ」です。
町並みを走り抜ける景観美と、激しい高低差に挑むタフさが共存。まさに“己との戦い”という色が強い大会です。
奈良開催のウルトラは何が違うのか?
1. 古代都を走る唯一の100km
橿原は日本建国の地とされ、吉野は修験道の聖地。そして飛鳥・藤原の宮都は現在、世界遺産候補地として登録推進が進められています。
つまりこの大会は、世界遺産級の史跡を繋ぐ100km。ただの自然景観ではなく、歴史そのものの上を走る体験は、日本のウルトラマラソン史の中でも新しい価値を持ちます。
2. 5月開催という季節性
サロマ湖(6月)、飛騨高山(6月)、四万十川(10月)と比べると、奈良は初夏の5月開催。
湿度や気温が安定して走りやすい時期ではありますが、日差しは強く、山間部と平地での寒暖差も出やすいタイミングです。補給や装備の選び方が完走のカギを握るでしょう。
3. “日本の原風景”が残る舞台
吉野の山並み、古代遺跡、田園風景。奈良の南部は観光地としてはまだ大規模な開発が進んでおらず、昔ながらの日本の原風景が色濃く残っているエリアです。
その土地を100kmにわたって駆け抜けることは、単なるスポーツ体験にとどまらず、「文化を身体で感じる旅」と言っても過言ではありません。
ランナー視点からの期待と課題
期待される点
・世界観が特別(歴史的背景)
・新たな挑戦舞台(3,000人規模)
・観光との相乗効果(アフターラン観光)
課題となる点
・コースの高低差設定
・アクセスと宿泊の利便性
・補給・ボランティア体制の準備
奈良から広がる新しいランニングカルチャー
今回の大会は、単なる「新しい100kmレース」では終わらないかもしれません。
奈良県はこれまで大規模ウルトラの舞台ではなかっただけに、ゼロからカルチャーを築ける可能性があります。
例えば、フルマラソン経験者が次に挑む「100kmデビュー」の聖地となること。あるいは、観光資源との融合で「走る文化遺産ツーリズム」として海外へ発信できること。
地元住民にとっても、ランナーを迎え入れることが新しい地域交流の形となり、観光やまちづくりに新たな光を当てるでしょう。
奈良から始まるランニングカルチャーが、日本全国、そして世界へと広がっていく未来を期待したいです。
奈良と靴下、そして私たちOLENOの想い
奈良県は「日本一の靴下産地」としても知られています。
特に今回のウルトラマラソンが開かれる地域に近い広陵町は全国シェアの6割を誇り、90年以上にわたり靴下づくりが受け継がれてきました。
私たちOLENOも、この地で靴下を編み続けてきた会社です。ランニングソックスをはじめ、トレイルランやウルトラマラソンに挑むランナーと共に改良を重ねてきました。
100kmの挑戦では、足のトラブルをいかに防ぐかが完走のカギ。
靴下はシューズ以上に大切なギアです。奈良の地で走るランナーの足元を支えられることは、ものづくりを続けてきた地元企業にとって大きな誇りです。
まとめ
サロマ湖は「記録」、四万十川は「自然」、飛騨高山は「山岳」。
そして奈良は、「歴史と文化」を走る100km。
3,000人のランナーが原風景を駆け抜け、文化遺産を身体で感じる。
奈良から新しいランニングカルチャーが芽吹くその時、地元の靴下産業もまた足元からその挑戦を支えます。
2026年5月、奈良発のウルトラマラソンの物語が幕を開けます。