【虫よけスプレーが原因?】アームスリーブULに起きた“劣化”の真相

【虫よけスプレーが原因?】アームスリーブULに起きた“劣化”の真相

きっかけはお客様の声から

先日、とあるお客様からお問い合わせをいただきました。

━「アームスリーブULの一部だけ、なぜか薄くなっている気がします」

最初は摩耗や引っ掛けによるダメージかと考えましたが、写真を見てみると一目で分かるほど、特定の箇所が極端に薄くなっていました。そこだけ明らかに生地の密度が落ちているのです。

私たちはすぐに製造・検品・保管などあらゆる工程を確認。しかし原因は見つからず…。お客様へのヒアリングを続ける中で、あるひとつの使用状況が浮かび上がってきました。

「山に行くとき、肌に直接虫よけスプレーをかけた上からアームスリーブを着けています」

この一言が、真相解明のカギとなりました。

 

虫よけスプレーの成分に潜む“繊維への影響”

さっそく社内で検証を開始。実際にアームスリーブULに市販の虫よけスプレーを直接吹きかけ、時間を置いてみたところ——

数時間後には、同様に生地が薄くなっている箇所を確認できたのです。

なぜこんなことが起こるのか。その原因は、虫よけスプレーに含まれるある成分にありました。

その成分の名は、「ディート」

ディートは、虫よけ効果の高い成分として知られていますが、同時にポリエステルやポリウレタンといった合成繊維を劣化させるリスクがある成分なのです。

実際、ディートを含む多くの虫よけスプレーの裏面には、こう書かれています。

「変色の恐れがあるため、プラスチック製品やストッキング等のポリウレタン配合衣類には使用しないでください」

つまり、私たちのアームスリーブULシリーズやカーフプロテクションといった合成繊維を使った製品にも影響が出る可能性があるのです。

もちろん、すべての虫よけスプレーにディートが含まれているわけではありません。

 

安心できる成分もあります

ディートに代わる成分として注目されているのが、イカリジンです。こちらは肌に比較的やさしく、子どもへの使用も認められている虫よけ成分。

また、ハッカ油を主成分とした天然系スプレーも市販されています。

この2種類(イカリジン系/ハッカ油系)のスプレーを同様にアームスリーブに直接吹きかけて検証したところ、生地の劣化や変色などは確認できませんでした。

つまり、虫よけスプレーによる影響は「どの成分が含まれているか」によって大きく異なるということがわかります。

 

ご使用の際は“裏面の注意書き”を必ず確認してください

今回の事例は、アームスリーブULという製品を通じて起きたことですが、合成繊維を使ったあらゆるウェアに共通して言えることでもあります。

虫よけスプレーを使用する際は、必ずパッケージ裏の注意事項を確認してください。非常に重要なことにもかかわらず、小さい文字でしれっと書かれていたりします。

ディートが含まれている場合、直接衣類の上から吹きかけないようにしましょう。

もし当社製品をご使用の際に、ディート配合のスプレーを使う場合は、

まず肌にスプレーをしてから

スプレー部分がしっかり乾いてから

その上に製品を着用する

という形でのご利用をお願いいたします。

ただし、それでもまれに反応が出るケースがありますので、推奨はいたしませんうえ、自己責任でお願いいたします。

 

【影響の可能性がある製品】

●アームスリーブULシリーズ

●カーフプロテクション

これらの製品は、快適な着用感を実現するために高機能な合成繊維を使用しています。だからこそ、ちょっとした化学成分に反応する可能性もあります。

 

おわりに

製品の不具合だと思われたことが、実は「日常的な使用習慣」から起きていることもある——。

今回の出来事は、私たちにとっても大きな気づきとなりました。

これからも長く快適に製品をご使用いただけるよう、少しでも参考になれば嬉しいです。

ご不明な点があれば、いつでもお気軽にお問い合わせください。

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